賃貸物件で導入進むスマートロック メリット・デメリット
近年、スマートフォンなどを用いて自宅の玄関ドアを開錠できるスマートロックに注目が集まっていますが、先日、木下の賃貸(東京都)が約2.5万戸、三福管理センター(愛媛県)が約1万戸に対してビットキー「homehub」の導入を開始したことがニュースになりました。今回は、物件オーナー側の視点でスマートロックのメリットとデメリットを紹介します。

セキュリティ性や利便性の向上で入居率アップに
スマートロックはスマートフォンやICカード、暗証番号などを使用して施錠・解錠できるシステムで、その場にいなくても施錠状態の確認や、遠隔で施錠・解錠することも可能です。
また、友人や家族などに一時的にアクセス権限を付与できる機能や、施錠・解錠が行われた日時の履歴やその操作主の履歴も残せます。外出中でも宅配業者の訪問に合わせて一時的に解錠することで、宅配ボックスがない場合でも荷物を受け取れるといった活用方法もあります。
スマートロックがあることで従来の物理キーを入居者に渡す手間や、入退去のタイミングで新しいものに交換する手間が省けます。また、内見時にも鍵を貸与する必要がなくなるため、スムーズな内見につなげられます。施錠・解錠の履歴が残ることから防犯性が高く、セキュリティ性を重視する入居者の満足度向上や長期入居、入居率アップにもつながります。

トラブルで使えなくなることやコスト面の負担も
スマートフォンを使って解錠するスマートロックの場合は、使用しているスマートフォンの充電が切れてしまえば解錠できません。また、スマートロック自体も電池で動くものなので、定期的に電池交換が必要です。一年に一度程度の頻度で電池を交換することになり、電池切れの状態ではもちろん作動しません。
後付けタイプのスマートロックで、元々の鍵穴を覆わないものなら、従来の物理キーも使用可能です。スマートロックはドアの内側に機器を設置するので、スマートロックが電池切れの際も物理キーで解錠することになります。トラブルに備えて、物理キーと併用するかたちにするのが基本です。しかし、スマートロックならではの利点が弱くなるともいえます。
また、スマートロックの導入には設置のための初期コストだけでなくその後の運用コストもかかります。基本的には月額課金のサブスクリプションサービスとなっており、買い切りではありません。さらには、スマートロックが設置できない形状のドアもあるので 確認が必要です。
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