一方的な駐車場の値上げは違法? 駐車場賃料を値上げする方法
▼駐車場は借地借家法の適用外
アパートやマンションの家賃の値上げは非常に困難ですが、その最大の理由は借地借家法が適用されてしまうからです。
これに対し、駐車場の賃貸には借地借家法は適用されません。土地所有者が駐車区画を月極で貸す場合だけでなく、土地所有者が駐車場経営者に土地を貸し、土地を借りた駐車場経営者がその土地を駐車場として整備して付帯設備(管理事務所、ゲート、フラップ、精算機など)を建築した場合でも、賃貸借の主たる目的は駐車場として利用するためであって「建物所有を目的とする」ものではないからです(賃貸借契約書において建物所有目的でない旨を明記し、賃借人が建築予定の付帯設備があれば全て列記して契約終了時の撤去義務を明記しておくべきです)。

駐車場の賃貸に借地借家法が適用されないことで、賃貸人は、賃貸借契約の解除権という最強の武器を利用できるようになります。
ちなみに借地借家法が適用されると、賃貸人に有利な契約終了には正当事由が必要になるため、契約期間中の契約解除も事実上できなくなりますし、契約期間満了後であっても契約更新を事実上強制されることになります。
▼賃料の値上げが言えるか?
では、賃料の値上げは法的に問題ないかですが、駐車場においては解除権を行使できる関係で、賃貸人が駐車場の賃料を値上げしたいときは「値上げに応じなければ契約期間が満了する時点で明け渡してもらうことになります」と合法的に言えるようになります。
あるいは、賃貸借契約書に賃貸人の解除権(●か月前に予告すれば契約期間中であっても解除できる)が明記されていれば、「値上げに応じなければ契約を解除しますので、●か月後の●月●日に明け渡してもらうことになります」と言えるようになります。
▼マンション付属の駐車場
青空駐車場ではなく、アパートやマンションの賃借人のための駐車スペースとして敷地の一部を提供している場合はどうでしょうか。
この場合はアパートやマンションの賃借目的のために通常必要であると客観的に認められる範囲であると認定され、駐車スペース部分にも借地借家法が適用される可能性が高まります。

そのため、駐車スペース部分に借地借家法を適用させたくないのであれば、駐車スペース部分の賃貸借契約書を別に作成し、アパートやマンションの賃貸借契約書に駐車スペース部分の賃貸借契約は全くの別契約であり、借家契約には駐車スペース部分は含まない旨を明記し、駐車スペース部分にまで借地借家法が適用されないと裁判所に判断してもらえる可能性をできるだけ増やしておくべきです。
このように、純粋な駐車場の賃貸借契約と言える場合には借地借家法は適用されないため、賃貸人は、契約解除権を武器に賃料の値上げ交渉を有利に進めることができます。
一方で賃借人は、値上げ要求を拒否すれば賃貸借契約が終了して駐車スペースを利用できなくなることから、駐車スペースの利用継続を希望すればするほど値上げに同意せざるを得なくなるでしょう。
あわせて読みたい
-
確定申告後に見直したい!賃貸経営の「真の利益」とは?
◆確定申告の数字を、次なる一手のヒントにする 確定申告を終えた後、多くのオーナー様が次のように感じているのではないでしょうか。 「帳簿上は黒字なのに、手元に残る現金が少ない気がする」 ..
-
空室対策
繁忙期に向けた空室対策③入居対象者の拡大編
前回に続き、2026年繁忙期に向けた効果的な空室対策をお届けします。 第3回となる今回は「入居対象者の拡大編」です。入居対象者を拡大することで、他物件と差別化を図り、空室対策へつなげること..
-
建設業法の改正が全面的に施行≪改正点≫をチェック!!
建設業の担い手の確保や処遇改善、生産性向上などを目的に「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律(以下、建設業法)」が2024年6月に国会で可決され、こ..
-
土地活用相続駐車場
土地活用としての駐車場経営 ②駐車場は相続税対策になるか
▼駐車場経営と相続税の関係 前回は、駐車場経営の基本的な仕組みについて解説しました。今回は、駐車場経営を行う際に気をつけたい税金の扱いを紹介します。 ▽相続税の仕組み 相続税は、故人の..
-
フリーレント空室対策繁忙期
繁忙期に向けた空室対策 ②家賃・初期費用編
2026年繁忙期に向けた対策として、今回は「家賃・初期費用編」です。早期の入居者獲得に向けて適正な家賃設定と初期費用設定のポイントを解説していきます。 ▼家賃設定の適正化 物価..
-
騒音トラブル
賃貸物件で近隣トラブルが発生した場合の家主の責任と対処法②騒音編
賃貸物件でのトラブル事項の2つ目は『騒音』です。 ▼よくある『騒音』相談 県や市が主催する無料法律相談でよく聞かれるのが、隣や上の部屋の住人による騒音被害を何とかできないかという相談です..
-
駐車場経営で土地活用
①駐車場経営のメリットと注意点 土地を所有しているものの、うまく活用できていないという方は多いのではないでしょうか。アパート経営を検討してみたものの、初期投資が大き過ぎてリスクが気になり..
-
改正
改正住宅セーフティネット法のポイントは?
●住宅セーフティネット法の活用で効果的な空室対策! 住宅セーフティネット法は、賃貸住宅を借りにくい高齢者や子育て世帯などを、ハード面・ソフト面の両面から支援する制度です。 オーナー様にと..
-
空室対策
繁忙期に向けた空室対策 ①設備・内装編
いよいよ繁忙期が迫ってきました。近年時期が早まったり、分散化の傾向がありますが、入居を決めるための効果的な空室対策は変わりません。今月より「設備・内装編」「家賃初期費用編」「入居対象者の拡大..
-
賃料増額は繁忙期が絶好の機会!実現のための方法は?
■“賃料増額の波”が全国的に広がっている インフレの影響で、賃貸物件の賃料上昇が全国的に進んでいます。オーナー様にとって、いまは賃料見直しを検討する好機といえるでしょう。 ただし、「周囲が値上..
-
家族信託を知ろう【全3回シリーズ】 (3)家族信託を始める手順・注意点
認知症対策としての家族信託について、前回は成年後見制度との違いを紹介しました。今回は、家族信託を実際にどのような手順で始めるのかを解説します。 ▼家族信託の始め方 ①家族と話す 家..
-
高齢者の入居を受け入れる際のサービス事例
超高齢社会の日本では、2024年10月1日時点の65歳以上の人口は3,624万人で総人口に対しての割合は29.3%です。 賃貸物件に高齢者を入居させることは孤独死をはじめとしたリスクがあるものの..
-
賃貸物件で近隣トラブルが発生した場合の家主の責任と対処法①ペット編
今回は、賃貸物件で起こり得るトラブルに対して家主の責任と対処法についてお伝えします。 ▼ペット飼育禁止特約ありの場合 賃貸物件でペットの飼育を認めると、鳴き声、排泄物、臭い、毛等..
-
基準地価4年連続で上昇 海外からの投資を背景に東京の伸び加速
国土交通省は2025年9月16日、全国の基準地価(同年7月1日時点)を公表しました。 全用途平均・住宅地・商業地のすべてが4年連続で上昇、上昇幅も拡大しました。全用途平均は1.5%の上昇で昨年の..
-
家族信託を知ろう【全3回シリーズ】 (2)成年後見制度との比較・使い分け
前回、認知症に伴う財産の凍結を防ぐ仕組みとして家族信託を紹介しました。今回は、同様の効力を得られる国の制度「成年後見制度」を紹介します。 ▼成年後見制度とは 成年後見制度とは、判..
-
賃貸経営とカスタマーハラスメント
最近「カスタマーハラスメント(以下カスハラ)」という言葉をよく耳にします。賃貸経営におけるカスハラについて解説します。 ▼カスハラとは? 「カスハラ」とは、「顧客等からのクレーム..
-
不動産クラファン高利回りで人気 一方で運営会社倒産のケースも
1万円程度の少額から始められ、利回りの良さから人気を集めている不動産クラウドファンディング(以下不動産クラファン)。人気の一方で、沖縄県の物件のファンドを運用中だったダイムラー・コーポレー..
-
設備
賃貸住宅向けディスポーザーで入居促進
住宅設備を販売・施工する㈱ミズテック(神奈川県海老名市)が、賃貸住宅に向けて、ディスポーザーの販売・施工を始めました。 ▼生ごみが減らせる家電製品 ディスポーザーはシンク..
-
路線価4年連続上昇、 訪日客増で全国伸び率2.7%で最大
国税庁は2025年7月1日に2025年(1月1日時点)の標準宅地の路線価を発表しました ▼全国の路線価は4年連続上昇、過去最大の伸び率 国税庁が発表した2025年路線価は全国平均で前年..