今、注目されている「再契約型」定期借家とは?vol.1
▼普通借家の弱点を補う「再契約型の定期借家契約」

近年、安定経営を目指すオーナーの間で注目されているのが「定期借家契約」です。
たとえば、大手不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」の調査では、首都圏の掲載物件において定期借家の採用が広がっており(全体の8.7%)、とくに東京23区では1割近くを占めています。
こうした流れのなかで、より柔軟な運用が可能な「再契約型の定期借家契約」に関心が集まっています。
今回は、この契約形態がなぜ安定した賃貸経営につながるのかを解説します。
まず、一般的な「普通借家契約」を選択した場合の課題を整理していきましょう。
普通借家契約は、借主が更新を希望した場合、契約が更新されるのが原則です。
そのため、家賃滞納や騒音などのトラブルがあっても、貸主の判断だけで解約することは困難です。解約には「正当事由」が必要であり、そのハードルは高いのが実情です。
さらに、調停や訴訟に発展すると、オーナー様が負担する費用も大きくなります。また、家賃を引き上げにくい点も課題です。
これに対して、定期借家契約はあらかじめ契約期間を定める契約であり期間満了をもって確実に終了できます。
トラブルの有無にかかわらず、契約期間ごとに関係を見直せる点が大きな特徴です。
さらに「再契約型」は、この定期借家契約の仕組みを活かした運用手法といえます。
この「再契約型」は、契約満了時に貸主と借主の双方が合意すれば、新たに契約を締結することを前提としています。
そのため、単発の定期借家契約と比べて、稼働率を維持しやすい点が特徴です。
ただし、注意点もあります。再契約型の定期借家契約は、法律上で定義された契約形態ではありません。
あくまで、定期借家契約をベースとした運用形態の一つで、実務上一般的に使われている呼称です。
この点を正しく理解したうえで活用することが重要です。
▼定期借家契約の基本と再契約型のポイント

再契約型のメリットと注意点を理解するためには、まず定期借家契約の基本を押さえる必要があります。
再契約型も、このルールがそのまま適用されます。
定期借家契約は普通借家契約と異なり、口頭での契約は認められていません。そのため、必ず書面で契約を締結する必要があります。
あわせて重要な手続きが「事前説明」です。契約書とは別に、「本契約は更新がなく、期間満了により終了する」旨を記載した書面を交付し、借主に説明しなければなりません。
これを怠ると、定期借家契約としての効力が否定され、普通借家契約とみなされる可能性があります。
判例や実務を踏まえると、この説明書面は契約書とは別に作成することが望ましいとされています。
また、契約期間は自由に設定できます。たとえば半年の短期契約も長期契約も有効です。
ただし、契約期間が1年以上の場合は注意が必要です。
契約期間が満了する1年前から6か月前までの間に、契約が終了する旨を借主に通知しなければなりません。
通知を怠ると、直ちに契約を終了できず、通知後6か月間は存続する点に注意が必要です。
以上が定期借家契約の基本です。
さらに、再契約型では、当事者双方の合意があれば再契約が可能です。
実務では、「契約違反がない場合は双方の合意により再契約できる」旨を契約書に明記し、あらかじめ認識を共有しておくとよいでしょう。
なお、再契約時には新規契約と同様の手続きが必要となります。
また、契約書の作成に加え、「更新がなく期間満了で終了する」旨の書面の交付と説明を、改めて行う必要があります。
これらの手続きは不動産会社がサポートしますが、オーナー様ご自身も理解しておくことが重要です。
なぜなら、契約に不備があった場合、その影響を最も受けるのは貸主であるオーナー様だからです。
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