令和8年度税制改正で賃貸経営はどう変わる?vol.1

賃貸オーナーが注目すべき税制改正の3つのポイント

 今回の税制改正において賃貸オーナー様が特に注意したいポイントは、以下の3点に集約されます。

・貸付用不動産の相続税評価の厳格化
・不動産小口化商品の評価方法の見直し
・高所得者層に対する最低税率制度(通称:ミニマム課税)の強化

 とくに、相続の直前に貸付用不動産(投資用不動産)を購入して相続税評価額を引き下げるスキームについては、今後は通用しにくくなる方向性がはっきりしました。ただし、これは賃貸経営、不動産投資そのものの価値を否定するものではありません。

 短期の節税目的での購入は難しくなりますが、これからは長期保有が前提の「堅実な賃貸経営」が重要です。

 これからの資産防衛に必要なポイントも含め、税制改正の詳細をわかりやすく解説していきます。

※本稿は、大綱ベースのものです。最終的な改正内容は、報道や条文・通達などでご確認ください。

ポイント1:相続開始前5年以内の物件評価が厳しく

 令和8年度税制改正大綱では、2027年(令和9年)1月1日以後に発生する相続等から、相続開始前5年以内に取得・新築された貸付用不動産の評価方法を見直す方針が示されました。

従来、不動産の相続税評価は、
・土地:路線価/倍率方式
・建物:固定資産税評価額

を基準としていました。

 この場合、実際の価格よりも低い評価となるケースが多く、「評価差」を活用した相続税圧縮が可能でした。

 今後は原則として、相続時点の「通常の取引価額(時価)」を基準とした評価に近づける方向です。

 実務上は、まず取得価額をベースに地価変動等を考慮して算定。課税上の弊害がない場合には80%相当額で評価できるという制度になる見込みです。

 これにより、相続直前の「駆け込み取得」による大幅な評価圧縮は難しくなります。

 なお、一定の経過措置や適用除外も示されているため、個別事情による判断が不可欠です。

 今回の改正は、単なる評価額の計算変更ではありません。これまで通用していた「亡くなる直前に買って相続税を圧縮する手法」が終わりに近づくことを意味しています。

 これからの賃貸経営は、節税メリットのみを追うのではなく、「投資としての健全性」がより問われます。
以下のポイントを押さえて、相続対策を再設計しましょう。

【「短期節税型」から「長期収益型」への転換】
相続前5年以内に購入した物件は、購入価格に近い金額で評価されるため、節税効果が限定的になります。
少なくとも5年以上の保有を前提とした計画設計が必要です。

5年の壁を逆手に取った早期対策】
現時点では、5年経過後は従来の路線価等による評価が適用される可能性があります。
相続対策が必要な場合は、被相続人(オーナー様)の年齢や健康状態も踏まえ、時間軸を逆算した資産組み換えが重要です。

持続可能な賃貸経営のチェックリスト】
「長期収益型の賃貸経営」へと舵を切る際、以下の要素を高い次元でバランスさせることが不可欠です。

・収益の安定性
・長期修繕計画
・明確な出口戦略

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