相続対策として生命保険の活用

 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。しかし、生命保険金は、契約上指定された受取人が自分の固有の権利として取得します。

 夫が契約者(被保険者)で、妻が保険金受取人として指定されている生命保険契約は、他人のためにする生命保険契約の代表です。他人のためにする生命保険契約については、保険金受取人は当然に当該生命保険契約の利益を享受するため、妻は保険契約成立と同時に、受益の意思表示なくして当然に、被保険者の死亡を停止条件とする保険金請求権を取得しています。

 したがって、生命保険金は被保険者の死亡により、はじめて受取人が取得する”被相続人の財産に属した”相続財産(遺産)ではなく、保険契約成立と同時に発生している受取人の固有財産と解されます。

 生命保険金は遺産分割協議の対象外となり、他の相続人の同意不要で受取人が単独で受け取ることができる。

 ただし、受取人を「相続人」と指定されていた場合は、各相続人が固有の保険金請求権を持つことになります。各相続人は、原則として各相続人の法定相続分に応じて算出された生命保険金額を受領する。(個別の生命保険約款において、相続人間で均等額で配分する旨の規定がある場合には、これに従う)

 被相続人名義の預貯金口座は、金融機関が被相続人の死亡を知った時点で原則凍結されます。預貯金を引き出すには、法的に有効な被相続人の遺言書か、相続人全員の合意により作成した遺産分割協議書同意書などを金融機関に対して掲示しなければなりません。

 なお、相続法改正により、遺産未分割でも①家庭裁判所、②直接金融機関での手続きを経ることで、各相続人が単独で相続預貯金の仮払いを受けることが可能となりました。ただし、①での手続きではある程度手間と時間がかかる、②での手続きでは仮払いを受けられる金額に限度があること(預貯金額の3分の1×各自の法定相続分、かつ、1金融機関あたり上限150万円)というデメリットがある。

 これに対して生命保険金は、遺産分割協議などとは関係なく、受取人が単独で保険会社に請求して受け取ることができ、すぐに現金化が可能となります。相続開始直後の相続人の資金需要に備える方法としては、生命保険金が便利といえます。

 生命保険金(請求権)は、相続財産ではなく受取人として指定された人の固有財産のため、相続放棄をした人であっても、その人が受取人として指定されている生命保険金は、その人の固有財産として受け取ることができます。

 相続対策には、遺産分割対策、納税資金準備対策、節税対策の3つがありますが、生命保険はいずれの対策としても有効です。これに加え生命保険は二次相続対策ともなります。

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