早めに対策を! 蛍光灯の2027年問題
2023年10月にスイスのジュネーブで「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」が開催され、全ての一般照明用の蛍光灯について、2027年末までに製造及び輸出入が禁止されることが決まっています。
▼蛍光灯以外も段階的に生産中止に

2027年末に蛍光灯の製造と輸出入が禁止されます。それに先立って、
デスクライトなどに使用される短いタイプの「コンパクト形蛍光灯」と、蛍光灯をらせん状にグルグルと巻いた形状の「電球形蛍光灯」は2026年末での製造・輸出入が禁止されます。
▼製造・輸出入禁止後も使用は可能だが
各種蛍光灯は製造と輸出入が禁止された後も、禁止前に生産されたものについては使用・販売が可能です。しかし、禁止に合わせて蛍光灯の生産量は少なくなることが見込まれるので価格は高騰するでしょう。
既に原材料価格、物流コスト、海外での人件費高騰などを理由に2023年から80~90%の値上げが行われています。蛍光灯はLEDライトと比べて交換費用が抑えられる点にメリットがありましたが、近年では同価格帯となっており、金銭的なメリットはない状態です。そのため、あえて蛍光灯を使い続ける理由はなくなりました。
▼LEDへの早期切替を
現在使用している蛍光灯が切れたり、新たに購入できなくなったりしたらLEDへの交換を検討するという方もいらっしゃるでしょう。しかし、2027年末には駆け込み需要で工事の業者を確保しにくくなり、工事したくでもできない状態や工事費用の高騰が予想されます。
また、蛍光灯は電力使用量が大きく、電気代の点でLEDと比べてデメリットがあります。先延ばしにせず、早めの切り替え工事をした方がメリットは大きいといえます。
▼共用部ではLEDへの切替工事が必要

自宅で使用する照明をLEDライトに変更する際は、電球や丸いシーリングライトをLEDに変更するといった作業をするだけで、工事は不要です。
しかし、共用部の蛍光灯やダウンライトなどでは、ほとんどの場合、切り替え工事が必要になります。LEDライトに不要な安定器を外し、直接電線を差し込 む配線工事を行わなくてはならないので、工事業者の選定を早い段階でしておきましょ。
2027年まで約2年間と余裕があるように感じますが、メーカーはそれよりも早く製造を打ち切る計画を出しているため、早めの切替が必要です。
あわせて読みたい
-
設備関連
LPガスの商慣行、無償貸与に罰則!注目点は?
56%のガス事業者が集合住宅の設備費を負担経験ありと回答 賃貸物件におけるLPガス(プロパンガス)の料金の請求については、長年にわたり入居者に不利益をもたらす商慣行があると、国や有識者などから..
-
設備関連
共同住宅の消火器について
賃貸マンションやアパートなどの集合住宅は消防法の区分けで「防火対象物」に分類されています。 消防法および消防法施行令は、「共用部分に業務用消火器を設置しなければならない」と定めており、防火や..
-
設備関連
賃貸物件デジタルツールの実態調査
情報通信技術市場の調査を行うMM総研が、賃貸アパート・マンションを一棟単位で所有する全国のオーナーを対象に行った「集合住宅のデジタルツール導入実態調査」の結果が発表されました。 調査によると..
-
設備関連
賃貸マンションの付加価値を高めるワンランク上の防犯設備!
賃貸マンションオーナーにとって、空室リスクを下げる対策は必須です。マンションの所在地に応じて、ニーズを満たす工夫をすることが空室を満たすポイントとなります。今回は、近年高いニーズを保っている防犯設..
-
設備関連
繁忙期に向けた効果的な空室対策「共用設備」
季節が動き、秋から冬に移り変わりつつあります。そして年が明けたら1~3月の繁忙期が来ます。 このコーナーでは、間もなくやってくる繁忙期に向けた効果的な空室対策を「共用部編」「設備編」「条件編」..
-
設備関連
アパート老朽化のリスク問題
建物の耐震基準には、旧耐震基準(昭和56年5月まで)と新耐震基準(昭和56年6月以降)の2種類あります。 新耐震基準では、震度7程度の地震でも倒壊しないように、①壁量を増やし、②基礎に鉄筋を入れ、③柱や..