賃貸物件デジタルツールの実態調査
情報通信技術市場の調査を行うMM総研が、賃貸アパート・マンションを一棟単位で所有する全国のオーナーを対象に行った「集合住宅のデジタルツール導入実態調査」の結果が発表されました。
調査によると約4割のオーナーが集合住宅の専有部や共有部に何らかのデジタルツールを導入しているとのことです。今回はその内容をご紹介します。
人気が高い防犯カメラ
デジタルツールとは、オーナーが専有部や共有部に設置する情報通信機器やサービスのことで、防犯カメラやスマートロック、スマートセンサー、全戸一括型インターネット、エントランスのオートロック、宅配ボックス、電気自動車(EV)充電器、太陽光発電システムなどが含まれます。
スマートロックはスマートフォンやICカード、暗証番号などでドアの施錠・解錠ができるシステムで、オートロック機能や入退室履歴の保存機能が搭載されています。
スマートセンサーは人の動きやドアの開閉、室内の温度などを検知し、スマートフォンに通知し、防犯性や利便性を高めるものです。
さまざまなデジタルツールのうち、導入率が最も高いのは防犯カメラの17%で、それに全戸一括型インターネット、宅配ボックス、エントランスのオートロックが続いています。
入居者はセキュリティ性や利便性を重視する傾向があるので、これら上位4つのデジタルツールは、入居率の向上につながっているという回答も多く見受けられました。セキュリティの高さは人気設備ランキングでも上位の設備となっています。


築浅物件ほど導入率が高い
デジタルツールの導入率は築浅物件であるほど高く、築5年以内の物件では7割以上が何らかのデジタルツールを導入しているのに対し、築20年以上の物件では2割未満となっています。
入居者のニーズは物件によって異なるため、築年数が経っている物件にデジタルツールを導入すれば、入居率が向上したり、その分賃料を上乗せしたりできるとは限らない点には注意が必要です。
一方で、築5年以内の物件の7割以上に導入されていることから、同価格帯のマンションとの競争率を高めるためにデジタルツールを導入や追加を検討する価値はあるといえるでしょう。
また、調査からはオーナーの年代や物件の築年数を問わず、防災や避難訓練を支援するサービスに高い需要があることも分かっています。
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